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【司法書士が解説】外国籍の夫が残した英語の遺言書の有効性|日本での相続登記は可能か?|解決事例

2025.09.22

1. お客様のご状況

ご相談者Aさんの夫Bさん(日本在住・アメリカ国籍)が亡くなられました。
Bさんは遺言書を作成しており、内容は「全財産を妻Aさんに相続させる」というものでした。ただし遺言書は日本の公証役場で「秘密証書遺言」として手続きされたもので、全文が英語で記載されていたうえに、封紙には署名捺印があるものの、遺言証書に捺印がありませんでした。
「この遺言で不動産の相続登記ができるのか」と当事務所にご相談くださいました。

【被相続人=亡くなった方】

・Bさん

【相続人】

Aさん(妻)

【財産状況】

不動産(自宅)、預貯金

2. 当事務所からの提案&お手伝い

遺言書を精査したところ、以下の点が判明しました。

・遺言書はBさんの出生地である米国ミズーリ州で作成されたものであった。
・その後、日本の公証役場で秘密証書遺言の形式で認証された。

遺言証書にBさん本人の押印がないため、民法970条の秘密証書遺言の要件を満たしておらず、日本の民法上の遺言としては無効であると考えられました。
一方で、この遺言書は米国副領事の認証を受けていました。米国ミズーリ州法も確認したうえで、本国法に基づいて有効な遺言と判断し、問題なく遺言による相続登記申請を行えると考え相続登記申請を進めることにしました。

当事務所では下記のサポートを行いました。

1. 遺言書の有効性について調査
2. 英文書類の翻訳文作成
3. 相続登記申請

3. 結果

法務局において、当事務所の意見のとおり「米国法に基づいて有効とされる遺言」として受理され、無事にAさん名義へ相続登記が完了しました。 米国方式で作成された遺言証書の秘密証書遺言という特殊な事案でしたが、スムーズに完了させることができました。

4.司法書士からひとこと

法の適用に関する通則法第37条で、「遺言の成立及び効力は、その成立の当時における遺言者の本国法による。」と定められています。
更に、遺言の方式の準拠法に関する法律第2条で、下記のとおり定められています。

第二条 遺言は、その方式が次に掲げる法のいずれかに適合するときは、方式に関し有効とする。
一 行為地法
二 遺言者が遺言の成立又は死亡の当時国籍を有した国の法
三 遺言者が遺言の成立又は死亡の当時住所を有した地の法
四 遺言者が遺言の成立又は死亡の当時常居所を有した地の法
五 不動産に関する遺言について、その不動産の所在地法

本事例のケースでは、亡Bさんの本国法である米国または亡Bさんが居住し不動産を所有していた日本の方式により有効な遺言書とすることができます。

日本の方式である秘密証書遺言は、下記の要件を満たしている必要があります(民法第970条)。
1遺言者が、その証書に署名し、印を押すこと。
2遺言者が、その証書を封じ、証書に用いた印章をもってこれに封印すること。
3遺言者が、公証人一人及び証人二人以上の前に封書を提出して、自己の遺言書である旨並びにその筆者の氏名及び住所を申述すること。
4公証人が、その証書を提出した日付及び遺言者の申述を封紙に記載した後、遺言者及び証人とともにこれに署名し、印を押すこと。

今回の事案では上記1の要件を満たしていなかったため、秘密証書遺言としては無効と判断されるものでした。 しかし、米国副領事の認証を受けた遺言証書であり、本国法に基づいて有効と判断され、相続登記が可能となったのです。
このように、外国籍の方や海外に財産を持つ方の場合、どの国の法律に準拠する遺言方式を選ぶかが実務上大変重要になります。
上述の通り、日本に財産がある外国籍の方の場合、本国法に基づいた遺言書でも有効な遺言書として認められます。ただし、日本の財産については日本で相続手続きを行うこととなりますので、翻訳文を添付したり、本国法により有効な遺言書であることを証明する必要があり、手続きが面倒になります。日本の財産については、日本の方式で有効な遺言書を作成することがおすすめです。

外国籍の方の遺言・相続手続きは、国際私法・本国法の適用関係が大きく関わるため、専門家へのご相談が不可欠です。ぜひ当事務所までご相談ください。

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この記事の執筆者
司法書士法人スターディオ 代表司法書士 保坂真世
保有資格司法書士(神奈川県司法書士会:登録番号 1592)
専門分野相続・ 中小企業法務・不動産売買
経歴平成21年:司法書士試験合格/平成26年:独立
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