初めての方へ 無料相談はこちら
無料相談受付中

0120-073-844

受付時間9:00~18:00(平日)

【司法書士が解説】広域交付制度とは?戸籍謄本・登記事項証明書の取得が劇的に変わる!相続・不動産売買の負担を軽減

はじめに:こんなお悩みありませんか?

「相続手続きのために、亡くなった父の出生から死亡までの戸籍謄本を集めるように言われたが、本籍地が全国に点在していて、どうやって集めたらいいか分からない…」 「遠方にある実家を売却することになった。現地の法務局に行かないと登記事項証明書(登記簿謄本)は取れないのだろうか?」

相続や不動産の売買手続きを進めるうえで、多くの方がこのような「書類集め」の壁に直面します。特に、戸籍謄本や登記事項証明書の取得は、本籍地や不動産の所在地を管轄する役所・法務局へ個別に請求する必要があり、時間と手間、そして郵送料や定額小為替の手数料といった費用がかかる、非常に煩雑な作業でした。

しかし、近年導入された**「広域交付制度」**によって、この手続きが劇的に便利になりました。

この記事では、国家資格者である司法書士が、皆様の負担を大きく軽減する「広域交付制度」について、その仕組みからメリット・デメリット、そして専門家に依頼する利点まで、詳しく解説します。手続きをスムーズに進めるための知識として、ぜひ最後までお読みください。

第1章:もう本籍地に行く必要はない!「戸籍証明書の広域交付制度」

2024年3月1日にスタートした画期的な制度が、戸籍証明書の広域交付制度です。この制度により、本籍地がどこにあっても、お近くの市区町村の窓口で戸籍謄本等を取得できるようになりました。

1-1. 何がどう変わったのか?

【これまで】

  • 戸籍謄本は、本籍地のある市区町村の役所でしか取得できませんでした。

  • 遠方の場合は、郵送で請求する必要がありました。

    • 請求書の作成

    • 手数料分の定額小為替を郵便局で購入

    • 本人確認書類のコピー

    • 返信用封筒(切手貼付)

    • これらを同封して本籍地の役所へ郵送

  • 相続手続きなどで、亡くなった方の出生から死亡までの連続した戸籍(改製原戸籍や除籍謄本)が必要な場合、複数の役所にそれぞれ郵送請求を行う必要があり、すべての書類が揃うまでに1ヶ月以上かかることも珍しくありませんでした。

【広域交付制度の導入後】

  • 最寄りの市区町村の窓口で、他の市区町村が管理する戸籍謄本等をまとめて請求・取得できるようになりました。

  • 例えば、ご自身の戸籍(本籍地:北海道札幌市)と、ご両親の戸籍(本籍地:沖縄県那覇市)が必要な場合でも、現在お住まいの東京都中央区の区役所窓口で、一度に請求できます。

1-2. 広域交付制度のメリット

  • 時間と手間の大幅な削減: 複数の役所との面倒な郵送のやり取りが不要になり、窓口へ一度行くだけで済むため、手続きにかかる時間が劇的に短縮されます。

  • 費用の軽減: 各役所への郵送料や、定額小為替の発行手数料が不要になります。

1-3. 利用する上での注意点(デメリット)

非常に便利な制度ですが、利用するにはいくつかの重要な注意点があります。

  • 請求できる人が限定されている:

    • 請求できるのは、**本人、配偶者、直系尊属(父母、祖父母など)、直系卑属(子、孫など)**に限られます。

    • 兄弟姉妹の戸籍謄本は請求できません。

    • 司法書士や弁護士などの代理人による請求もできません。

  • 窓口での本人確認が必須:

    • 請求する際は、運転免許証、マイナンバーカード、パスポートなど、顔写真付きの身分証明書による厳格な本人確認が必要です。健康保険証など顔写真のない身分証明書では請求できません。

    • **郵送での請求はできません。**必ず窓口に出向く必要があります。

  • 取得できる証明書の種類:

    • 取得できるのは「戸籍謄本(戸籍全部事項証明書)」「除籍謄本(除籍全部事項証明書)」です。

    • 個人の情報のみを証明する「戸籍抄本(戸籍個人事項証明書)」や、身分証明書、独身証明書などは対象外です。

  • コンピュータ化されていない一部の戸籍は対象外:

    • 一部の古い戸籍(改製原戸籍など)は、コンピュータ化されておらず、この制度では取得できない場合があります。その場合は、従来通り本籍地の役所に直接請求する必要があります。

相続手続きでは、亡くなった方の兄弟姉妹が相続人になるケースや、代襲相続が発生して甥や姪の戸籍が必要になるケースも少なくありません。このような場合、広域交付制度だけでは対応できず、結局は従来通りの方法で請求しなければならない場面が出てくるのです。

第2章:不動産・会社の登記もお近くで!「登記事項証明書の広域交付制度」

戸籍だけでなく、不動産登記や商業・法人登記の「登記事項証明書(登記簿謄本)」についても、以前から広域交付制度が導入されています。

2-1. どこの法務局でも取得可能

全国どこの法務局・出張所でも、他の法務局が管轄する不動産や会社の登記事項証明書を取得できます。

  • 【例:不動産登記】

    • 東京にお住まいの方が、北海道にあるご実家の土地・建物の登記事項証明書が必要になった場合、東京法務局の窓口で取得できます。わざわざ北海道の法務局に行く必要も、郵送で請求する必要もありません。

  • 【例:商業・法人登記】

    • 大阪に支店のある会社が、東京に本店のある取引先の会社の登記事項証明書(履歴事項全部証明書など)を取得したい場合、大阪法務局で取得できます。

これにより、遠方の不動産の売買や、他社の与信調査などがスムーズに行えるようになります。

2-2. オンライン請求ならさらに便利

登記事項証明書は、法務局の窓口に行く方法のほかに、「登記・供託オンライン申請システム」を利用してオンラインで請求することも可能です。オンライン請求の場合、手数料が窓口請求よりも安く、証明書を郵送で受け取れるため、法務局に行く時間がない方には非常におすすめです。

第3章:それでも手続きが複雑な時こそ「司法書士」に依頼するメリット

広域交付制度は非常に便利ですが、特に戸籍収集においては、前述の通り多くの制約があります。ご自身で手続きを進めようとした結果、「結局、どの戸籍が必要なのか分からない」「兄弟の戸籍が取れなくて手続きが止まってしまった」「平日に役所や法務局に行く時間がない」といった壁に突き当たってしまう方は少なくありません。

このような時こそ、私たち司法書士にご依頼いただく大きなメリットがあります。

3-1. メリット①:面倒な戸籍収集をすべて代行!「職務上請求」という専門家の特権

司法書士は、登記手続きなどの業務に必要な範囲で、**「職務上請求」**という特別な権限を行使して戸籍謄本や住民票を取得することが認められています。

この職務上請求には、広域交付制度のような制約がありません。

  • 請求者の制限なし: ご依頼いただければ、広域交付制度では取得できない兄弟姉妹や甥・姪の戸籍謄本も取得可能です。

  • 郵送請求が可能: 私たちは各市区町村のルールに則って郵送で請求を行うため、お客様が役所の窓口に出向く必要は一切ありません。

  • 必要な戸籍を漏れなく収集: 相続手続きでは、法律で定められた相続人を確定するために、どの範囲の戸籍が必要かを正確に判断する必要があります。私たちは専門家として、必要な戸籍を的確に判断し、漏れなく収集します。コンピュータ化されていない古い戸籍の解読や、転籍を繰り返している複雑なケースもお任せください。

ご自身で広域交付制度を利用して一部の戸籍を集め、残りを郵送で集める…といった手間をかけるよりも、最初から専門家である司法書士にすべてお任せいただく方が、結果的に時間的・精神的な負担を大幅に軽減できます。

3-2. メリット②:相続登記・不動産売買までワンストップで対応

私たちの役割は、単に書類を集めるだけではありません。

  • 相続手続きの場合:

    1. 戸籍謄本を収集し、相続人を確定

    2. 相続関係説明図を作成

    3. 遺産の調査(不動産、預貯金など)

    4. 遺産分割協議書の作成

    5. 法務局への相続登記(不動産の名義変更)申請

  • 不動産売買の場合:

    1. 売買対象不動産の登記事項証明書等を取得し、権利関係を調査

    2. 売買契約書の内容確認

    3. 買主様・売主様の本人確認、意思確認

    4. 決済(代金支払)の立会い

    5. 法務局への所有権移転登記申請

このように、書類収集から最終的な登記申請まで、手続き全体をワンストップでサポートできるのが司法書士の強みです。お客様は、複雑な法律や手続きの流れをすべて把握する必要はなく、安心して私たちにお任せいただけます。

第4章:よくあるご質問(Q&A)

Q1. 戸籍の広域交付は、委任状があれば代理人でも請求できますか? A1. いいえ、できません。広域交付制度を利用した戸籍謄本の請求は、ご本人、配偶者、直系尊属・卑属の方しかできず、委任状による代理人請求は認められていません。司法書士であっても、この制度を利用して代理請求することはできません。司法書士が代理で取得する場合は、従来通り本籍地の役所に職務上請求を行います。

Q2. 亡くなった父の相続手続きで、父の兄弟の戸籍が必要です。広域交付制度で取れますか? A2. いいえ、できません。請求者から見て「傍系」にあたるご兄弟の戸籍は、広域交付制度の対象外です。この場合は、ご兄弟の本籍地がある市区町村役場へ個別に請求する必要があります。このようなケースこそ、職務上請求が可能な司法書士にご依頼いただくメリットが大きくなります。

Q3. 登記事項証明書を急いで取得したいのですが、オンライン請求と法務局窓口ではどちらが早いですか? A3. 最も早く手に入るのは、法務局の窓口で直接請求する方法です。その場で発行してもらえます。オンライン請求は、郵送で受け取るまでに数日かかります。ただし、手数料はオンライン請求の方が安価です。ご状況に合わせて最適な方法をお選びください。もちろん、司法書士にご依頼いただければ、これらの取得もすべて代行いたします。

まとめ:複雑な手続きは専門家である司法書士にお任せください

広域交付制度は、戸籍謄本や登記事項証明書の取得を身近で便利なものに変えた、画期的な制度です。ご自身で取得できる範囲の書類であれば、ぜひ活用して時間と費用の節約にお役立てください。

しかし、特に相続手続きにおいては、誰の戸籍がどこまで必要なのかを正確に判断し、広域交付制度の対象外となる戸籍もすべて集めなければならず、そのハードルは依然として高いままです。

「自分でやってみたけど、途中で挫折してしまった」 「必要な書類が分からず、手続きが進まない」 「仕事が忙しくて、平日に役所や法務局に行く時間がない」

もし少しでもこのようにお感じなら、それは専門家である司法書士に相談するタイミングです。私たちは、広域交付制度のメリットを最大限に活かしつつ、そのデメリットや限界を「職務上請求」という専門家の権限でカバーし、お客様の手を煩わせることなく、迅速かつ確実に手続きを完了させます。

相続、不動産売買、会社の登記など、広域交付制度の利用を含めた各種お手続きでお悩みの際は、どうぞお気軽に当事務所までご相談ください。お客様一人ひとりのご状況に合わせた最適なサポートをご提供いたします。

この記事の執筆者
司法書士法人スターディオ 代表司法書士 保坂真世
保有資格司法書士(神奈川県司法書士会:登録番号 1592)
専門分野相続・ 中小企業法務・不動産売買
経歴平成21年:司法書士試験合格/平成26年:独立
専門家紹介はこちら