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【司法書士が解説】相続人のうちの一人が刑務所にいるケース|解決事例

2024.10.29

1. お客様のご状況

Aさんからのご相談です。Aさんの夫Bさんが約10年前に亡くなりました。相続人は妻のAさんと長男Cさん、二男Dさんの3名です。Bさんの遺産は「マンション」のみで、Bさんの死後、Aさんが相続手続きをしないまま一人で住み続け、10年が経過しました。
その後、Aさんは生活の変化に伴いマンションの売却を希望。しかし、売却するには前提として相続登記が必要となり、まずは相続人全員で遺産分割協議を行わなければなりません。ところが、長男Cさんは数年前に逮捕され、刑務所に収監されていました。一度だけCさんから手紙が届いたものの、その手紙も紛失してしまい、現在どの刑務所にいるのか、また出所しているかどうかも不明な状況でした。刑務所に問い合わせても、本人の在籍情報は家族にも開示されません。
困り果てたAさんは、長男Cさんの居場所を探し、相続の手続きを進めるため、当事務所にご相談にいらっしゃいました。

【被相続人=亡くなった方】

・Bさん

【相続人】

・Aさん(妻)
・Cさん(長男)
・Dさん(二男)

【財産状況】

・マンションのみ

2. 当事務所からの提案&お手伝い

まずは、Cさんの居所を確認し、相続に関する意向を確認する必要があることを説明しました。初めに、Cさんの住民登録を確認したところ、登録は「実家の住所」のままだったため、まだ出所していない可能性が高いと考えました。
そこで、Aさんのお住まいの地域の近隣の刑務所すべてに手紙を送ることを提案しました。もしCさんがその刑務所に在籍していなければ手紙は返送され、在籍している場合は手紙が届くと考えました。この方法で手紙が返送されない刑務所を地道に探すこととしました。


 当事務所では下記のサポートを行いました。
1. 戸籍謄本等の収集
2. 相続関係説明図の作成
3. 行方不明の相続人捜索サポート
4. 遺産分割協議書作成
5. 相続登記申請

3. 結果

複数の刑務所同時に手紙を送ったところ、1か所だけ手紙が返送されない刑務所がありました。Aさんから委任を受け、当事務所の司法書士がその刑務所を訪ね、面会を申し込んだところ、長男Cさんの在籍が確認できました、無事Cさんと直接面会し、マンションをAさん名義とすることで問題ないと意向を確認することができました。
遺産分割協議書については、刑務所のルールに従い書類と返送用封筒を差し入れた上で、後日郵送で返送してもらいました。
通常、遺産分割協議には実印の押印と印鑑証明書を添付する必要がありますが、刑務所に在監しているためCさんはこれらを用意できません。今回のケースでは、法務局の過去の通達を参考にし、Cさんの拇印と刑務所長による奥書証明をもって実印と印鑑証明書の代替とし、無事に相続登記を完了させることができました。
相続人の居所がわからない場合、相続手続きを進めることは非常に困難ですが、当事務所ではこのようなケースにも対応しており、相続人捜索サポートの実績も豊富にございます。
相続問題でお困りの際は、ぜひ当事務所にご相談ください。専門知識を活かし、迅速に対応させていただきます。

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この記事の執筆者
司法書士法人スターディオ 代表司法書士 保坂真世
保有資格司法書士(神奈川県司法書士会:登録番号 1592)
専門分野相続・ 中小企業法務・不動産売買
経歴平成21年:司法書士試験合格/平成26年:独立
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